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【潰瘍性大腸炎とは?】

潰瘍性大腸炎とは、炎症性腸疾患を代表する疾患のひとつで、直腸から口側にかけて大腸の粘膜に連続的な炎症が生じる原因不明の疾患です。若年(10代後半~30代前半)に好発しますが、幅広い年齢層で見られます。患者数は急激に増加傾向が続いており、日本はアメリカに次いで二番目に患者数が多くなっています。




 

当院の大腸カメラは予約制で月曜日から金曜日の午後におこなっています。
緊急時は肛門から大腸の途中まで観察します(月~土曜日午前)。
紹介状なしで受診可能です(無料)



当院の内視鏡検査について


  

【概要と疾患の特性】



潰瘍性大腸炎はどんな病気?


潰瘍性大腸炎は、直腸から大腸粘膜に慢性的、時に急性的な炎症が生じ、炎症の程度によって潰瘍を伴うことがあります。
原因は多くの研究がなされていますが、正確なメカニズムは解明されておらず、国の指定難病とされています。


主な症状


潰瘍性大腸炎の主な症状には、腹痛、下痢、粘液便、血便、下血(血便)などが含まれます。
全身的な症状としては、発熱、貧血、頻脈、体重減少などが挙げられます。


【潰瘍性大腸炎の原因】

潰瘍性大腸炎の原因は未だに特定されていませんが、遺伝的な要素に環境因子が重なることで、腸粘膜の免疫機構の調整がうまくいかなくなり発症すると考えられています。
家族や血縁関係者に患者がやや多いことから、遺伝的な背景が指摘されていますが、まだ詳しいことはわかっていません。


一般的な症状


  • ・持続的または反復する血便・粘液(粘血)便

  • ・腹痛

  • ・発熱

  • ・貧血

  • ・体重減少  など

生活への影響


潰瘍性大腸炎は基本的に治癒する病気ではなく、症状が出てくる「活動期」と症状が出ずに落ち着いている「寛解期」を繰り返します。
「活動期」には上記のような症状が出てくるため、症状の程度に応じた治療が必要で、場合によっては緊急性を要します。
「寛解期」には症状は安定しているため、日常の生活を送ることができます。
そのため、「寛解期」をなるべく維持するよう普段から検査・治療を継続することが重要です。

【診断と検査方法】


診断


潰瘍性大腸炎の診断は臨床症状や内視鏡所見、病理所見などの総合的な判断で確定診断となります。
臨床症状は上記のような血便や粘液(血)便などで、特に診断において内視鏡や手術による組織検査は必須となります。


検査の種類


潰瘍性大腸炎に対する検査には、検体検査と画像検査があります。
検体検査は採血や便検査があり、炎症の程度を把握するのに役立ちます。
画像検査は腹部エコー、CT、レントゲン、内視鏡検査(大腸カメラ)などがありますが、正確に病状を把握するためには内視鏡(大腸カメラ)が最も有用です。
その他の腹部エコーやCT、レントゲンは補助的な画像検査となります。


  • 〇内視鏡検査

  • 潰瘍性大腸炎は粘膜の病変であるため、病勢の評価には粘膜を直接カメラで確認することが非常に有用です。
    大腸カメラで確認することで病状のコントロールや他の疾患の可能性の評価が可能です。
    また、潰瘍性大腸炎が長年慢性的に持続すると、大腸癌が発生しやすくなるため、定期的な大腸カメラによる観察も必要です。
    当院では大腸カメラは予約制ですが、緊急性がある場合は浣腸のみの処置で下部結腸まで当日観察します。


  • 〇生検とその重要性

  • 内視鏡検査の際に組織の一部を採取することを生検といいます。
    この生検で採取された組織は、ホルマリンで固定された後に顕微鏡で詳しく細胞レベルで確認されます。
    この生検の組織検査によって急性期や慢性期の炎症の程度が評価され、潰瘍性大腸炎の診断や病勢の確認にとても役立ちます。



    【治療】

    潰瘍性大腸炎は残念ながら治癒する疾患ではなく、「活動期」と「寛解期」を繰り返します。
    「活動期」で急激に悪くなる時は外科的治療が必要となることがありますが、基本的には「活動期」を抑える治療も「寛解期」を維持する治療も薬物治療となります。



    薬物治療

    食事療法


    残念ながら潰瘍性大腸炎については食事制限や栄養療法が効果的という見解は一般的ではありません。
    安易に食事療法を行うべきではないと考えられます




    ▢最後に▢
    潰瘍性大腸炎は一生付き合っていかないといけない疾患です。

    病気のことを良く知って、根気よく検査、治療を行う必要があります。
    国の難病にも指定されており、病状によっては治療費の助成を受けることができます。お気軽にご相談下さい。



    参考文献: 炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン2020(改訂第2版)日本消化器病学会

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